戦隊ヒーローシリーズでは、変身直後のメンバーが一人ひとり口上を述べ、見栄を切り、最後に背後で当該色の爆発が起きるおなじみの演出があります。
戦隊の中には1分をゆうに超える「メンバー紹介パート」を持つグループもあるそうです。
「敵はそのあいだ、どうしているの?」という好奇心を生むあのくだり、長きにわたってずっと繰り返している様子は、よほど愛されていると見るべきでしょう。
”変身前” が見せ場の仮面ライダー
仮面ライダーの場合、特に平成シリーズでは自己紹介はないし、変身時の定番パターンに要する時間も、戦隊モノに比較すればかなり短いと思います。
なにせヒーロー側の人数が少ないという絶対的な条件がある。
それゆえに「変身!」の掛け声とともに行われる変身アクションという格好の見せ場も、尺が短く済むのは当然です。
それと、見せ場になるポイントも大きく個性が違う。
仮面ライダーの変身の見せ場はどちらかといえば ”変身完了までの間” で、変身後の自己紹介に重きを置く戦隊ヒーローとは一線を画している。
そう、”変身完了までの間” が見せ場なので、そこをどう魅せるのか? は、ベルト玩具販売のマーケティングとして、大変重要な意味を持つのではないかと思います。
①不可思議系は変身遊びの難易度が高い?
ちなみに、劇中でバックルだけが物理存在のベルト玩具は、変身アクションを真似て遊ぶ際にそれなりの想像力、または「想像しない力」が必要な気がします。
帯部分を腰に巻くアクションが劇中ではオートで行われるため、そのカットを都合よくスキップしないと、なりきり遊びの点睛を欠く(のではないか?)
子どもたちはそういった点、抜群の ”子供補正” を利かすので、まごまごする間が生じてもそこは「なかったこと(スキップ)」にして、すんなりベルト装着が終わることが多いハズ。
しかし、変身ベルト玩具は概して高額で、しかも大人が品質を吟味しながら愛でているケースも多いらしい(ホラ言ったでしょ、大人に響いてるんですって、特撮作品は!)
大人が「存在しないはずの帯出現」をまごまごとやっていると、おそらく周囲で見ている人にツッコまれる確率は、子供の場合より多いと思う。(すべて勝手な想像です。愛好家の方、違ってたらごめんなさい)
劇中だとオートで行われる「腰への帯巻き」が、自身の作業として課される中、ツッコミへの言い訳がついつい頭をよぎってしまう大人は、明らかに”子供補正” が発動していない。
いっそ、劇中でもベルト装着にまごついてくれたら、なにも俺の頭の中だけの想像じゃなく「劇中でもこうなんだ!」と最高のエクスキューズがつくのに・・
でも先程述べたように、仮面ライダーは”変身完了までの間こそ見せ場である” という特性を持つ。
だからこそ②完全物理系である【カブト】だって、変身シーンでは最初からベルトを巻き終わっていて、キャッチしたゼクターを構える動きのほうに全力を尽くすのである・・
そんな勝手な大人のニーズに応えてくれる、特撮世界ではタブーとも言える「ベルトを巻くまでのあたふた感」でリアリティを実現できるカッコいいライダーなんて、絶対にいないだろう・・
そうつぶやいてガックリと首を垂れた、絶望と諦めの縁に佇む特撮好きの大人のもとに舞い降りた、平成ライダー唯一のヒーロー
それが【555(ファイズ)】です。(前置きチョー長っ!)
・・ってか今回は前置きだけで終わろう。続けたら長くなりすぎそうなので・・