私は年功序列の役人生活が長く、昇進試験といった飛び級が可能なシステムも無いところだったため、「年上は『上』であり役職も給与も若者より上位である」という価値観が当然な環境の中で、社会人1年目から過ごした過去を持っています。
年齢と役職が逆転する関係といえば、キャリア組とノンキャリくらいのものであり、試験種別さえ同じならば、なんと言っても年齢がモノを言う世界です。男女差があったのは事実ですが、私が入庁した頃は、その壁も崩れ始めてきた時代でした。
勤め始めの最初の環境が、その後の社会人生活を左右することは多い。
それと、長く勤めた職場のカルチャーが、次の職場での身の処し方を左右することも多い。
私にとって国家公務員という職は、その両方に当てはまっています。
しかしなぜか、私は職場においては基本的に年齢性別などは気にせず、「そのポジションで仕事するうえでの能力の有無」を徹底的に重視してきました(この中にはむろん、人間性も含まれます)。
だから民間へ転身したとき、自分より若い上司に平然と追従し、付き合ってきました。
ベンチャーでは特に、そんなことを気にしていたら働けたものではありません。
そのかわり、役目の割に能力が無いとみなした上司に対しては、かなり厳しい態度をとったことも事実で、それは公務員時代から徹底していました。
つまり、私自身が何かとトンガった部下で、いかにも問題を起こしそうな若者だったのですが、幸いなことに、公務員時代の私の歴代の直属上司は、特定の人物を除き優秀な方ばかりで、非常に厳しい方も多かった。
生意気な私に、生意気を言う暇も与えずにビシビシ鍛えることができる実力の持ち主が、結構あちこちにいらしたのです。
さて、ほとんど前置きになってしまいましたが、タイトルの『進藤巡査長』は、このところ何度も題材にしている『翔んでる警視』シリーズに登場する主人公・岩崎白昼夢(さだむ)の部下です。
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25歳で警視庁捜査一課へ配属になった岩崎に対し、その時の進藤は42歳。
階級は、岩崎が警部(すぐに警視へ昇任)なのに対し、進藤は巡査長。
キャリアとノンキャリの違いがあるので当然なのですが、年齢と年次においては完全な逆転現象です。
おまけに、歯に衣着せぬ罵倒を展開する岩崎警視は、配属当初は実力未知数な状態ですから「生意気にもほどがある」と、ほとんどの刑事たちから総スカンをくった男です。
第1巻では、捜査一課内における新任上官と古参部下たちの不穏な空気の描写が多く、いわば「岩崎警視の対内バトル」が、事件の捜査と並行して書かれるシーンが多い。
どちらもドラマ性があるので、読者にとっては「一粒で二度おいしい」造りです。
そんな中、ベテランのヒラ刑事・進藤俊次さんがどんな感じだったのかは、次回書きたいと思います。
私のような人間のアンチテーゼであることを強調したくて自分の過去を書いたら長くなりすぎました。。。