「消費税を上げるのにどれだけ苦労したと思ってるんだ!」
「一度下げてしまったら、上げるのにどれだけ大変なのかわかってない!」
いや、だからこそ消費税を下げたほうがいいでしょう、と思う。
「上げるのが大変」だからこそ、効き目がある
消費税率を上げるのは大変なんだ!と、なぜか消費減税が悪事のように叫ぶ人たちが幅を利かせる政府自民党。
そして、そんな彼らはわざわざ自分たちの弱点を教えてくれている。
「上げるのに苦労する」からこそ、これが一番効き目のある経済対策なのでは?と・・
もう一度上げるのにとんでもない苦労が要るレベルで下げておかないと、またすぐに、いとも簡単に増税してしまうことは目に見えている。
完璧に条件が整っているトリガー条項発動にさえ、色々と言い訳してやらないくらいだから、簡単にリバウンドできるような減税は、むしろ藪蛇なのかもしれない。
「自民党の手の届かないところへ保管してください」という注意書きを
一般的に、取り扱いに危険が伴うものは、物事の分別が付かない子供の手の届くところへ置かないのが常識だ。
それと同じことで、分別のつかない連中が、当たり前のようにひっくり返せる状態にしておくのは大変危険である、と。
マンガや小説などでは、魔物を封印するときには飛び切り頑丈に、念には念を入れて厳重にやるけれども、あのレベルでないと簡単に復活されて地上は地獄に陥ってしまう。
繰り返すが
「また上げるのにどれだけの苦労が・・」とあの人たちに言わしめるようなものだからこそ、経済対策に効果があるというものだ。
それから「どれだけ大変だったと思ってるんだ!」と息巻いている連中の殆どは受け売りで、本人は何もしていないか、ただ話を聞いてただけなんじゃないかという気がしてしまう。
【愚痴】消費税上げるときに協力してました
ちなみに3%から5%に上がる頃に役所づとめだった私は、霞が関で大蔵省の「増税影響資料」を作るため、えらい目に遭わされた。
”ふんどし” と呼ばれる予算資料の表に、現在の額と増税後の額、そしてその差額(影響額)を書くのだが、この差額についてはExcelを出力したコピー用紙の細かいセルのひとつひとつに手書きするよう、各局の会計担当に対して指示が飛ぶ。
(なぜ手書きなんだ?)
”ふんどし” は、区分・事業名・費目・予算項目(勘定科目)といった具合に段階を踏んで細かく分かれており、私が所属していた局の資料のセル数でいえば、かすかな記憶だが数千に及んでいた。
せっかくExcelで作っているのだから「影響額」用にセルを設けて自動計算すれば良さそうなものだが、わざわざ手書きさせるので、数百箇所は私の手書き文字が、狭いセル内に記述されることになる。
しかもこれが、なぜかカーボン紙を使った複写なのだ。
カーボン紙というのは、筆圧によって下の紙に複写するものだから、カーボン紙を使う伝票などの紙は薄いのが普通だ。
コピー用紙で出来上がっている伝票などはないと思う。
まして、カーボン紙を使う前提なら。
その「物理的に無理のある指示」によって、狭いセル内に強力な筆圧で文字を書く羽目になった。
作業時間帯は夜中。いつものことだ。
徹夜が続いて集中力が落ちているのでミスが多発する。
複写の状態が悪すぎて書き直しになり、何枚の紙をムダにしたことか。
全力でやっているにも拘わらず、会計課からは「まだか? 早くしろ」と指示が来るが、それは大蔵省(財務省)の声を反映したものだ。
最後に摂ったのが前日の昼食、という状況のまま、僅かな仮眠で朝を迎え、予算関連以外の業務が当たり前に開始する一日を強要される。
当然、居眠りなどは許されない。
勤め人なら当然のことだし、当時の我々は ”全体の奉仕者” たる公務員であって ”国会議員” ではないからだ。(あれ? 国会議員も「公務員」に規定されてるはずだけど・・)
「消費税影響調査」の日々(一日では完了しない)は、その後もいくつかのパターンで行われた。
カーボン紙を使った嫌がらせのような苦行も、最初の時ほどではないが何度かあった記憶がある。
「消費税を上げるのにどれだけ苦労したと思ってるんだ!」とうそぶく口だけ議員は、絶対にこんな作業で心身をすり減らしたりしてないだろう、と、それだけは言いたい。
”下々の者共” の一人である私は、少なくともかなり苦労したわけだが、もしも今度は減税のために作業しろと言われたら、それはむしろ喜んでご協力するがなぁ・・