物語の4日目 11月12日(土)am 7:00
昨夜の続きで、朝倉の住む上目黒のアパートにて
一応、この作品は大藪春彦の代表作『蘇る金狼』だということを書き添えておきます。
そして、この朝の食事シーンはこの一文です。
罐詰と固くなったパンで腹ごしらえをし朝倉は九時の定刻に会社へ出た。
これを「孤独なグルメ『蘇る金狼』」に変換していきます。
昨夜の食事シーンはこんな感じでした。
コッペパンらしきものを食べているのですが、なぜか呼称が「コッペ」だった点が大いに疑問です。
(孤独のグルメのオープニング音楽)
♬チャッ、チャッ、チャララ、チャラララーン
ラララ・ダッダッダダ・ダ(トゥーン)
タラーララ・タララララーラ・タララララーララ ♫
(朝倉哲也のモノローグ)
今朝は缶詰と固くなったパン
昨夜はコッペパンのことを頑なに「コッペ」と言い張っちゃったけど、今朝は「パン」
コッペパンは、柔らかくあってこその「コッペパン」
だから俺は柔らかければ「コッペ」と呼び、固くなったら「パン」と呼ぶ
これが俺の流儀
昨夜は「コッペ」だったお前
今朝は「パン」として食うが、別に俺は今のお前のことが嫌いなわけじゃない
固くたって柔らかくたって、お前は小麦とバターと砂糖と塩、そしてイースト菌からできているあのコッペパンと、なんら変わりはないのだ
固くなったお前にも、今のお前なりの良さがある
俺は罐詰をお供にお前を食っているが、これがスープだったなら、たとえ硬いものが苦手な人だって、きっとお前を受け入れてくれる
いや、俺は固かたかろうがパサパサしていようが、そんなことはどうでもいい
お前はお前のままでいい
俺はお前の良さを知っている
ただ、呼び方だけは俺なりのこだわりで通させてもらう
今のお前は「パン」であり「コッペ」ではない
それだけは 承知してくれ
土曜日は「半ドン」で半日だけ出勤だった時代
今日は土曜日
会社は12時で終了です
いつもの出前の安ラーメンを取ることもなく、朝倉は京橋の会社を出ます
そして有楽町の蕎麦屋でかけそばを一杯 食べる
朝倉の普段の食事からすると異様なまでに少ないですが、会社でいつもの安いラーメンを食べたと考えれば、朝から昼の流れとしては、普段どおりと言えるでしょう
今日の朝倉は、昨日の犯行の後、自分を運んだタクシーの運転手のことを調べるために横浜まで行き、その後は別の用事で横須賀方面に移動します
給料日まではまだまだ日数があるというのに、タクシー代や国電(さすが昭和中期)の運賃は彼の財布を直撃します
鉄道ピクトリアル アーカイブスセレクション26 国電の記録1950-60 2013年 09月号 [雑誌]
千円札一枚で中華屋へ入れた時代
田町まで戻った彼は、目当てのタクシー運転手がよく出入りするであろう場末の中華料理店へ行き、五目そばを注文します
最後に残った1枚の千円札を丁寧に使うために今日の午後は神経を使いました
ここでも当然ながら 贅沢はできません
あの朝倉 が たつた一杯の五目そば
昼は一杯のかけそば
泣ける昼飯を食ったら夜はバージョンアップして
一杯の五目そば
となったわけです
思えばこの日は何ともお粗末な食事で、朝倉の肉ゲージ(満腹ゲージ)は大きく減っていることでしょう
⇧画像は「ひきこもろん」さんのサイトより
HPにも影響しそうなほど、この日の朝倉の食事は冴えません