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『大藪春彦「蘇る金狼」の味(5)バター!バター!バター!』

ここらで一旦お断りしておきます。 言われなくてもご存じでしょうが、『蘇る金狼』はハードボイルド作品です。

コーヒーには クリープ バター

さて、大食漢であり、バターひとつとっても常人離れした量を摂取する主人公・朝倉哲也ですが、前回までの記事を書いているうちに、たしかあと2カ所はバターの描写があったはずだとページを戻ってみたら、やはりありました。

野望篇75ページです。


蘇える金狼 野望篇 (角川文庫 緑 362-2)

 

『大きな陶器のコップに入れたインスタントコーヒーに沸騰する湯をそそぎ、それに一塊のバターをとかした』

 

これを“バター・コーヒー”と表現しています。

コーヒーフレッシュなどと違い、バターは純然たる乳製品ですから、これはこれでアリかもしれませんが、マネする気にはなりません。

 

分量を書いていないのも気になりますが、このシーンの頃の朝倉は活動資金の捻出に苦しんでいましたから、あまり大胆に使えなかったのかもしれません。

有楽町のモーニングサービス・バター 

続いてページをさかのぼり、同じく野望篇の22ページ。 有楽町そばのモーニング・サービスのグリルでハム・ステーキを頼んだところです。

 

『マスターは焼きたてのステーキにバターの塊を乗せて、朝倉の前のカウンターに置いた』

 

モーニングサービスのグリルという形式の店は、現代ではまず聞かれませんが、喫茶店のモーニングよりもしっかりした量があることはたしかでしょう。

 

この店は、目の前でマスターが調理してくれるようですから、オーダーに変化が付けられると考える余地はあります。

 

ボロニアソーセージを食するシーンでは、その量は常に「キロ」で表現される朝倉君です。

ハムだって当然キロ単位のはず。

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KoK51さんによる写真ACからの写真

 

そうでないと、朝倉のパラメータの肉ゲージがピンチになります。

 HPゲージが空腹によって削られる事態を招くことでしょう(プレイ経験がないのにマイクラが頭から離れない私)。

 

そういう事情でキロ単位のハムがオーダーされ、次はバターです。

『バターの塊』の分量が数値で書かれていません。

 

普通はステーキ類に落とすバターと言うと、小さな直方体で重さは8〜10グラムといったところでしょう。

しかし、仮に8グラムだとすれば、朝倉のバター度量衡を発動するなら「たったの0.018ポンド」にすぎません。

 

もはや、毛穴から吸い込んで無くなるレベルの微量です。

朝倉ともあろう男がそんな量で引き下がるはずがない。

 

「オヤジ。バターは半ポンド落としてくれ」

「・・・あいよ(引)。お代はその分上乗せだよ」

「わかってる。そんなことより、溶かさないでくれよ」

「だってお兄さん、それじゃデカいカタマリのままだよ」

「・・・(無言でにらむ)」

「悪い事は言わないよ。やめときなって。朝からそんなにさ」

「オヤジ、ハム1キロ追加だ。バターは半ポンド追加で1ポンドにしてくれ」

 

そんな、店の冷蔵庫のバター残量が気になる展開であったことを、私は勝手に望んでいます(あり得ないけど)。

大藪さんファンの方々、申し訳ありません。