物語の9日目 11月17日(木)am 8:00少し前
何も食べずに上目黒のアパートを急ぎ足で出発する朝倉哲也
11月14日の夜、鯨肉の缶詰を主食にレモンを皮ごと かじった夕飯のことを前回記事で書きました。
経理部長の横領の証拠を知ってしまったため、口止めがわりの現金を押し付けられ、リッチな気分だったところです。
<こちらの記事です⇩⇩⇩>
しかし、このときを最後に 火曜日と水曜日には 食事のシーンがありません。
- ヤクザと闘うことより、朝飯を喰えないことのほうがピンチ
- ヤクザとの抗争以上に力の入る中華ソバ屋での立ち回り
- 腹が、、減った。。店を探そう
- もしも同僚とこの店で遭ってしまったら・・朝倉最大のピンチ!
- 焼飯と野菜スープ
ヤクザと闘うことより、朝飯を喰えないことのほうがピンチ
朝倉は、水曜日の深夜にヤクザを倒して14万ゴールド 円を手に入れ、木曜日の午前3時少し前にようやく自分のアパートに戻ります。
もちろん真面目なサラリーマンを装う彼は、火曜日も水曜日もふだんどおり会社には出勤しています。
その結果、ハードボイルド的活動は夜からになり、水曜日の帰りは木曜日の朝方になりました。
前夜の興奮を引きずって、高ぶる気持ちは抑え切れず、夜明けの光を感じながらようやく意識を手放した朝倉は、つい寝過ごしてしまいます。
目覚めた時には朝の8時近かったため、食事の時間はありません。
肉ゲージを回復しないまま、朝倉は出勤します。
ヤクザとの抗争以上に力の入る中華ソバ屋での立ち回り
そして昼休み。
すでに朝倉の満腹ゲージは 危険水域にありH P もかなり減っています
それでも怪しまれないように 昼はいつもの店屋物の安いラーメンを食べます。
ラーメンのスープは液体。なぜ『ラーメンの液』と言ってはいかんのだ?
朝倉は、昼食のラーメンを液までも残さずにすすった
とありますが、 ラーメンの汁のことを『液』と表現しているのは、 おそらく大藪春彦的世界観なのでしょう。
安ラーメン程度で前夜以来の空腹がおさまるわけがない
しかし空腹の極地であることに加え、疲労が蓄積した朝倉哲也が、安ラーメン程度の食事をしたところで、彼の肉ゲージはせいぜい一個ぐらいしか回復しません。
⇧こちらの画像は「ひきこもろん」さんのサイトから頂きました。
月曜日に経理部長からもらったお小遣いに続き、前夜はヤっちゃんから頂いた臨時収入があったことで、今は確かにお金はある。
しかし、何とかしてこの空腹状態を脱しないと HP が尽きてしまう。
肉ゲージ満タンが朝倉のバイタルの元ですから、早いところ何とかしなければならない。
腹が、、減った。。店を探そう
とにかく腹が減っているところから、この日の朝倉の行動は開始されると言っても過言ではありません。
今の朝倉には、何をおいてもこの空腹に向き合うことこそ、至上命題なのです。
待ってるだけの店屋物ではいかん
食いに行ける店を探そう
アイドルだって、会いに行ける連中が時代を席巻したじゃないか
喰いに行ける店
それこそが、いま俺が推したい店ナンバーワンだ
握手券・・イヤ、次回割引券や一品サービス券が付いていようがいまいが、デリバリーの店屋物など、俺の眼中には無い
いま俺の胃袋には、かつて中国全土を席巻した騎馬軍団のごとく、食いに行ける店旋風が激しく吹き荒れている
すぐさま万里の長城を築かなければ、あっという間に全身の内臓が胃袋に加担して、俺の体は食欲に乗っ取られてしまうだろう
(井之頭五郎風モノローグ)
もしも同僚とこの店で遭ってしまったら・・朝倉最大のピンチ!
空腹がおさまらぬ朝倉には、もはや遠くの店まで行く余裕はない。
同僚に怪しまれたくない彼は、いつものラーメン以外のものを食べている姿など見られたくない。
とはいえ、腹は背に・・・じゃなかった。背に腹は代えられない。
朝倉は会社のすぐ裏にある中華屋へ足を踏み入れます。
焼飯と野菜スープ
隅のテーブルに座った朝倉は、焼飯と野菜スープを注文します。
締めのラーメンならぬ「口火のラーメン」を食べたあとです。
ちょっと順番が違う気もしますが、今はランチです。
色々言いたいことはあるけれど、まあ、妥当なメニューと言えましょう。
なんといっても朝倉君のメシの話ですから。
しかし、ここで問題があります。
「腹がふくれた」・・・だと?
焼飯と野菜スープで腹がふくれると、前夜来の疲れと寝不足の反動が一気に押し寄せ、朝倉は店員にチップを渡し、12時55分になったら起こしてくれと頼み、仮眠します。
このとき渡したチップが100円玉1枚ということに、我々は違和感をおぼえますが、私は、蘇る金狼の舞台が昭和41年と規定しています。
おそらく令和3年に直せば、ワンコインを渡したのと同じインパクトなのでしょう。
だからそれは良いのですが、そんなことより、腹をすかせた朝倉が、たかがチャーハンと野菜スープで「腹がふくれる」なんてことがあるだろうか、という点が大いに疑問です。
『闘魂チャーハン』の可能性
私が通っていた都立高校は住宅地にありました。
チェリオを売っている謎の店以外にこれといった商店はなく、例外的に”寿楽”という場末の中華屋がひっそりと佇んでいた程度です。
この店のチャーハンは、並盛り370円でした。
大盛りだと50円アップの420円。
小食の私が、調子に乗って注文した大盛りチャーハンは、こんもりとはしているものの、至って小ぢんまりした見映えでした。
しかしこれが、食べても食べても山が崩れない。
それ以来、大盛りを注文することは止めました。
ただ、この店には裏メニューがあります。
・・というか、メニューには書いてあります。
『超大盛り』と。
しかし、常連だけが知っている、この超大盛りの別称は『闘魂』
お代は470円。量は・・パルプンテ
「オジサン、闘魂チャーハンふたつ!」
「ええーっ!?」
闘魂チャーハン2人前をフライパンで振るという戦慄が、オヤジさんのリアクションから読み取れるほどの分量・・
朝倉が入った裏通りの中華屋が”寿楽(京橋店)”であったことは想像に難くない。
そして、頼んだ焼飯は『闘魂チャーハン』だったに違いない。
そして野菜スープはこんな器で運ばれてきただろう。
(この画像はめでたいな.comの上記リンク内の写真です)
なるほど、これならたった二品で朝倉の腹もふくれるだろう。
この日は経理部長の愛人宅をつきとめるための尾行とか色々あったようですが、それはいわばオマケみたいなもので、物語9日目のメインシーンはこの裏通りの中華ソバ屋にあったことは言うまでもありません。