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『大藪春彦「蘇る金狼」の味(2)食パン』

大藪作品の主人公の食事があまりにも破天荒なので、もう少し書いてみます。

 

温泉宿の朝の和食だとやたらと食べる私でも、これにははるかに及ばない

 


蘇える金狼〈完結篇〉 (トクマ・ノベルズ)

 

この作品の主人公・朝倉哲也は東和油脂という大企業の経理部員です。

彼は経理部長・小泉の愛人を垂らし込んで自分の野心のための道具にします。

 

彼女を騙すために借りて、偽りの愛の巣としたアパートでの、ある朝の光景です。

 

ベーコンエッグの皿の横に、トースターが置かれ、京子はトースト二枚と生ジュースを食べています。

 

しかし朝倉のほうは、一斤近くのパンを食べます。

 

一斤・・

 

一斤というと、カラオケボックスで見るハニートーストを想像します。

あれを一人で食べると考えると、明らかに持て余しますね。

 

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ここのすけさんによる写真ACからの写真

 「量」だけでなく「食べ方」の常識を覆す朝倉くん

朝倉は甘いものが嫌いなので、もちろんクリームなどはパンに塗りません。

ここで彼が食べたのは「バターとチーズを半ポンド」です。

 

半ポンド=225グラム

絶句せざるを得ません。

 

スーパーなどでよく見かける雪印バター1箱が200グラム。

あれの約1.1倍ものバターを、たった(!)一斤のパンに塗りきれるだろうか?

 

テーブルの上にはトースターがあり、京子はそれでパンを焼いている。

 

朝倉が食べた一斤近くのパンは、何枚切りだったのでしょう。

8枚切りだとすれば、京子が2枚を食べているので、薄手の6枚に対して一箱以上のバター・・

 

パンがグチャグチャになりそうです。

それに加えて同じ分量のチーズがある。

 

朝倉は、この作品の中で何度も、缶詰やチーズをパンにはさんで食べています。

はさんだでしょう、この時も。

 

バターでグチャグチャになり、端からボタボタと脂肪が垂れ落ちる食パンで、パンより固い、分厚いチーズをはさむ。

 

もはや「チーズでパンをはさむ」という状態ではないかと思います。マズそう・・

 

いや、私の想像力が弱いのかもしれない。

 

朝倉は「バターをパンに塗っていない」と考えれば、頭に浮かぶ映像は全く違うものになります。

 

バターとチーズを厚めに切ってパンにはさんだら、そのまますぐにかぶりつけばよい。

分厚いバターをチーズと共に前歯でサクッと噛み割り、パンと共に咀嚼して飲み込む。

 

ちなみに朝倉はこの作品で目玉焼きを2回くらい作っていたと思いますが、卵の数は5個です。

食べたでしょう、この朝も。

 

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g-graphicaさんによる写真ACからの写真

 

恐ろしいほど過剰な動物性たんぱく質、動物性脂肪の摂取。

単にワイルドという表現では収まりがつきません。