【感情会計】善意と悪意のバランスシート

善と悪の差し引き感情=幸福度

『大藪春彦「蘇る金狼」の味②食パンは恵方巻の如し』

大藪作品の主人公の食事があまりにも破天荒なので、もう少し書いてみます。(この記事は過去記事を大幅に改修した再掲です)

  


蘇える金狼〈完結篇〉 (トクマ・ノベルズ)

 

朝倉哲也が~♪ 朝食を食べーるー♪(嘉門達夫風に)

この作品の主人公・朝倉哲也は東和油脂という大企業の経理部員です。

彼は経理部長・小泉の愛人を垂らし込んで自分の野心のための道具にします。

 

彼女を騙すために借りて、偽りの愛の巣としたアパートでの、ある朝の光景です。

f:id:db469buncho:20210221044447j:plain

 

ベーコンエッグの皿の横に、トースターが置かれ、京子はトースト二枚と生ジュースを食べています。

 

しかし朝倉のほうは、一斤近くのパンを食べます

 

一斤・・

 

一斤というと、カラオケボックスで見るハニートーストを想像します。

あれを一人で食べると考えると、明らかに持て余しますね。

 

f:id:db469buncho:20200424190043j:plain

ここのすけさんによる写真ACからの写真

 あえてポンドで表現するのは、バター消費の本場フランスへのリスペクト?

朝倉は甘いものが嫌いなので、もちろんクリームなどはパンに塗りません。

ここで彼が食べたのは「バターとチーズを半ポンド」です。

 

半ポンド=225グラム

絶句せざるを得ません。

 

スーパーなどでよく見かける雪印バター1箱が200グラム。

<アフィリエイトリンク~半ポンド弱のバター>

あれの約1.1倍ものバターを、たった一斤のパンに塗りきれるだろうか?

 

もはや職人芸。朝倉哲也のバターさばき 

テーブルの上にはトースターがあり、京子はそれでパンを焼いている。

 

朝倉が食べた一斤近くのパンは、何枚切りだったのでしょう。

8枚切りだとすれば、1枚当たりの厚さはそれほどありません。

 

京子が2枚を食べているので、残りは6枚。

一箱以上のバターをどう使うか?

 

ただし、この大きさを1斤と表現する場合もあるらしく、むしろ私はこっちを最初に想像していました。

f:id:db469buncho:20210221052750j:plain

 

さすがにスーパーやコンビニで売られている一般的な食パン1袋だったら、225グラムのバターを使うとパンがグチャグチャになりそうですし、そもそも薄い食パン6枚程度じゃ、焼きたてでもその量のバターは溶かし切れない。

 

また、同じ分量のチーズもある。

さて、職人・朝倉哲也はこれをどうさばくか?

 

両面にバターを塗ったパンは、食べ方に技量が要る

f:id:db469buncho:20210221053915j:plain

朝倉は、この作品の中で何度も、缶詰やチーズをパンにはさんで食べています。

 

この時も絶対にはさんでいるはず。

 

相当量のバターをはさんだら溶けてグチャつき、手に持った食パンの端からボタボタと垂れ落ちるでしょう。

シナシナになった食パンで、それを上回る固さを持った分厚いチーズをはさむ。

 

もはや「チーズでパンをはさむ」という状態ではないかと思います。

マズそう・・

 

 バターは「塗る」ものじゃない、「噛む」ものだ(by朝倉哲也)

 いや、私の想像力が弱いのかもしれない。

 

「朝倉はバターをパンに塗っていない」と考えれば、頭に浮かぶ映像は全く違うものになります。

 

バターとチーズを厚めに切ってパンにはさんだら、そのまますぐにかぶりつけばよい。

分厚いバターをチーズと共に前歯でサクッと噛み割り、咀嚼して食べる。

 

朝倉は劇中で2回ほど目玉焼きを作ったと思いますが、使う卵の数は5個です。

この朝も普段どおりだったことが想像されます。

 

f:id:db469buncho:20200424191259j:plain

g-graphicaさんによる写真ACからの写真

 

恐ろしいほど過剰な動物性たんぱく質、動物性脂肪の摂取。

単にワイルドという表現では収まりがつきません。